大満足の羽毛布団を買うために
チェックしたい選び方のポイント

「今年こそ新しい羽毛布団を買う!」
「いくらぐらいの、どんな布団を買えばいいのだろう?」

羽毛布団は魅力ある商品で、価格もピンキリですから、
どれを買うか、たくさん考え、悩んで当然です。

専門業者のサイトとして、少しでもお役に立ちたい!
けれど、「よい羽毛布団」の定義は、使う方のニーズや
考え方によっても少しずつ異なります。

「ズバリ、これ!」という提案は難しいのですが、
選ぶときのポイントをお知らせすることはできるでしょう。

羽毛布団に求めること、最も重視することは何か、
思いめぐらしながら読んでいただけると幸いです。

少し長くなりますので、気になる項目だけを
もくじから拾っていただいても結構です。

◇もくじ◇
羽毛布団を使う季節、地域、環境は?
「ダウンパワー」「ダウン率」と充填量
鳥の種類と羽毛の質
羽毛の産地について
ニオイの少ない、清潔な羽毛
側生地の品質も大事な要素
キルティングのマス目の数と構造
まとめ

羽毛布団を使う季節、地域、環境は?

まず基本的な質問。
「どんな季節にお使いになる羽毛布団をお求めですか?」

「もちろん真冬の寒い時期! 羽毛に求めるのは何より暖かさ」
「春とか秋に快適な布団。羽毛なら暑すぎないかな、と」
「夏に冷房が効いた部屋で使うのにちょうどいいものを…」
など、いろいろなご希望があると思います。

羽毛布団に限らず、掛け布団には厚い順に本掛け布団
(単に「掛け布団」とも言います)、合掛け布団
肌掛け布団と、大きく分けて3種類あります。

冬用、春・秋用、夏用と、概ね季節で使い分ける感じですが、
お住まいの寝室の環境によっても適切な厚みは変わります。

たとえば古い日本家屋で、主に夏場の湿気対策が重要なため
気密性は低い家。就寝時にエアコンを使う習慣もない…。
そういうお住まいで冬に使うお布団をお探しであれば、
しっかり暖かい上等な本掛けをおすすめします。

そうではなく、近年建てられた高気密住宅や集合住宅など、
断熱性が高いか、空調設備が整ったおうちであるなら、
ダウンの質や充填量にさほどこだわる必要はないかもしれません。

真冬であっても寒さで困っていないなら、
お手頃価格の合掛け布団を秋→冬→春と
3シーズン使いまわすのは合理的です。

「ダウンパワー」「ダウン率」と充填量

羽毛がどれぐらい充填されていれば
「本掛け布団」として満足できるかと言えば、
これは羽毛の質によって変わってきます。

羽毛の膨らむ力は数値化され、「ダウンパワー(dp:
1g当たりの体積 《cm3/g》)」として表示されます。
目安として350dp以上、さらに400dp以上あれば
かなりよいものである、と言われています。

このほか羽毛の膨らむ力を表す単位には
「フィルパワー」が使われていることもあります。
国際的にはこちらの単位が広く通用しており、
日本国内でも衣料品はフィルパワーで表記されています。
羽毛布団も外国製のものはフィルパワーで
表示されている場合があります。

それぞれの詳しい算出法は省きますが、
フィルパワーに0.546を掛けると
ダウンパワーに換算できます。

たとえば「750fp(フィルパワー)」と書かれている場合、
ダウンパワーに換算すると409.5となり、
上等な羽毛であることがわかります。

よく膨らむ高品質な羽毛であれば、
重量は少なめでも十分な厚みが出て
たくさん空気を含んだ暖かい布団になります。

また「ダウン(羽毛)」が少なく「フェザー(羽根)」が多い布団は、
体積あたりの重量が重くなるので、厚みや暖かさを確保するためには、
ある程度、充填物の重量が必要になってきます。

ダウンとフェザーの比率は70/30ぐらいか、
できれば80/20以上の、
総重量が重すぎないものが望ましいです。

つまり羽毛の質を度外視して
中身の軽い布団では真冬に耐えられないとは言えないし、
充填量が多ければ上等とは、なおさら言えないのです。

羽毛の質(ダウンパワー)と充填量の関係を、
シングルサイズを例に表にまとめました。
お買いになる布団の目安としてご参照ください。

本掛け布団 合掛け布団 肌掛け布団
400dp 以上 1.1~1.3kg 0.7~1.0kg 0.2~0.4kg
400dp 未満 1.2~1.5kg 0.8~1.1kg 0.3~0.5kg

鳥の種類と羽毛の質

羽毛布団の充填物の質は、ダウンとフェザーの割合のほかに、
鳥の種類でも違ってきます。

羽毛布団に使われる羽毛は主にダック(アヒル、鴨)と
グース(ガチョウ)です。

一般的にはグースのほうが、体が大きいぶん
羽毛の一つひとつ(ダウンボール)も大きく、
より多くの空気を含んで布団がよく膨らみます。
つまりダウンパワーが大きいため、
より上質で、値段も高めです。

さらにマザーグースは卵を産む成鳥のガチョウで、
ほかのガチョウよりも大きく立派な羽毛が採取されます。
当然数は少ないため、価格は一層高価になります。

膨らみだけでなく、ニオイについても、
草食のグースは雑食のアヒルより
羽毛の動物臭が少ないと言われます。
そんなところも、グースが高価でも
人気が高い理由となっています。

そのほか「アイダーダックダウン」は最も希少で、
最も高価な羽毛として知られています。

これはアイスランドで子育てをする
アイダーダック(ホンケワタガモ)が
卵をふ化させるときに巣に敷いていた親鳥の羽毛を、
雛が巣立ったあとに採取したものです。

羽毛どうしが絡み合う性質があり、
しっかりとした空気の層を作るのが特長です。

希少性と採取の手間により大変高価な羽毛で、
商品としてはあまり一般的とは言えません。

羽毛の産地について

同じ種類の水鳥でも産地や飼育環境によって
羽毛の質は違ってきます。

残念ながら日本では羽毛を採取できる鳥が
ほとんど飼育されていないので、
ほぼ100%輸入に頼っています。

羽毛を採取する水鳥の多くは
食肉用のグースやダックで
概ね北半球の国々で飼育されています。

ハンガリーやポーランドは国を挙げて
良質な羽毛の生産に力を入れていることもあり、
品質に定評があります。

そのほかドイツ、フランス、チェコ、ルーマニア、
イギリス、ロシアなどで採取された羽毛は
高品質なものが多いとされています。

さらにアジアの国々でも生産されており、
日本で最も多く流通しているのは中国(含 台湾)産の羽毛です。

産地によって羽毛の質が変わるのは、
寒冷地ほどダウンボールが大きくなりやすいことのほかに、
飼育環境や与えるエサ、水鳥の発育や健康状態が
羽毛に現れるからだと言われます。

ニオイの少ない、清潔な羽毛

そしてダウンボールの大きさなど羽毛の質と併せて
必ず確認していただきたいのが、
羽毛の洗浄について」です。

生き物の毛を使っているため、洗浄が適切でないと
ニオイがきつかったり、アレルギーを起こしたりといった
トラブルに遭いかねません。

低価格をウリにしている羽毛布団の中には、
コストを抑えるために十分な洗浄がされておらず、
ゴミも適切に除去されていない粗悪品があります。

すべてとは言えないまでも、
日本国内で洗浄された羽毛については、
より厳しい基準で洗浄されているので、
安心の指標にしてよいでしょう。

気をつけなければならないのは、
外国から「洗浄済み」の羽毛を買い上げて
国内で側生地に詰めただけの「国内製造」
「日本製」の商品です。

国内で縫製、充填されていることも大事ですが、
それ以上に、「国内で洗浄された羽毛」か
ぜひチェックしてみてください。

そして近年SDGsにかなうものとして脚光を浴びつつある
リサイクルダウン(再生羽毛)」を使った羽毛布団も
国内洗浄でダウン率も確かなものであれば、
より清潔である点においておすすめできる商品です。

側生地の品質も大事な要素

羽毛布団の品質を見極めようとすると、
どうしても羽毛そのものに目が行きがちですが、
注目ポイントはほかにも多々あります。

まず側生地に何を使っているか

比較的安価な羽毛布団は、ポリエステルと綿の
混紡生地を使用するケースが多く見られます。

ポリエステルは濡れても速く乾くのが特長で、
「洗える」をセールスポイントにしていることも
多いようです。

ただ、どうしても綿100%よりは通気性、放湿性に劣ります。

「蒸れにくい」という羽毛布団の特性がより生きるのは
やはり天然素材です。
おすすめは綿100%の側生地を用いた羽毛布団です。
「60サテン」さらに「80サテン」が柔らかく、しなやかです。

羽毛布団の生地は、これらの布地の織目をつぶす
「ダウンプルーフ」という加工を施していて、
簡単には羽毛が出てこないようにしてあります。

生地の数字は「番手」といって、糸の太さを表しています。
大きいほうがより細い糸で、よりきめ細かく織られています。
価格も高価になりますが、ガサガサという布ずれの音がしづらく、
体になじむので、お客様からは
「奮発してよかった」とのお声もよく聞かれます。

弊社商品には、オーガニックコットン100%の生成り80サテンという
エシカルにこだわった生地の布団もございます。

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ほかに大変高価な素材として絹100%生地の羽毛布団があります。
絹は肌に優しく、つややかな見た目も豪華で、
吸湿性、放湿性は綿よりも優れていますが、
擦り切れたり破れたりしやすいという欠点があります。

生地に穴が開いて羽毛が飛び出すのを防ぐために
化繊の中地と2重にして縫ってある製品は重くなったり、
せっかくの通気性が落ちたりする場合があります。

キルティングのマス目の数と構造

羽毛布団は中身の羽毛を偏らせないように
広い面を適度に仕切る「キルティング」を施しています。

羽毛の長所を十二分に発揮するには、
生地をあまり細かく仕切らないほうがよく、
実際、ヨーロッパなどで古い時代に使われていた羽毛布団は
一つの袋状に縫われた側生地の中に
すべての羽毛が詰めてありました。

しかし寝ている間に羽毛の偏りができやすいし、
それを直す毎日のベッドメイキングが手間なので、
現代では欧米の布団もキルティングを施してあります。

国内で販売されている羽毛布団の多くは、
本掛け、合掛けが横4マス×縦5マスの20マス、
肌掛けが横5マス×縦6マスの30マスになっています。

より暖かく心地よい羽毛布団となるよう、
かつて3マス×4マスの製品も作られましたが、
中身の羽毛の偏りが起こりやすいため、
標準的な仕様にはなっていません。

マスの数だけでなく、
キルティングの構造にも種類があります。

ミシンの縫い目で仕切ってある「たたきキルト」は
最も丈夫な構造で、長く使っても
羽毛の偏りが発生しないことが魅力です。

クリーニングにも強いので、
業務用の布団や、暖かい季節に活躍する、
薄くて軽い羽毛肌掛け布団(ダウンケット)」に
多く用いられます。

ただし縫い目の部分には羽毛が入らないので、
一般のご家庭で寒い時期に使用する、
暖かさが求められる厚手の布団には
立体キルト」のほうがよいと考えられています。

立体キルトは縫い目の部分に壁状の仕切り布が入る
文字通り立体構造のキルトで、それぞれのマスが箱型になります。

羽毛が入らない、生地だけの部分が少ないので
より暖かく快適な羽毛布団です。

さらに「二層式キルト」は、表側、裏側の二層になっていて、
それぞれマスの大きさが違うキルティングをほどこしてあります。
外気の影響を受けにくい、保温性抜群の布団です。

欠点としては、布地が多くなる分、重くなることが挙げられます。

具体的に言うと、二層式はシングルサイズでも、
立体キルトのシングルより500gほど重くなります。

100g軽くするために高品質の羽毛を選びながら、
布で暖かさを補強することになるので、
これには賛否両論があります。

立体と二層式のどちらがよいかは、
お客様ご自身のお好みや考え方によるでしょう。

*     *     *     *     *

まとめ

羽毛布団を選ぶ際のポイントをおさらいします。

1. 使用する環境(季節、気温など)に合ったボリュームの布団か
※本掛け、合掛け、肌掛けなど厚さ、
キルトの構造や羽毛の充填量は適切か。

2. ダウンパワーの数値、ダウン率は価格に見合っているか
※ダウン率70%以上、できれば80%以上推奨
※ダウンパワーは350dp以上、
高品質を求めるなら400dp以上

3. 鳥の種類は何か
※ダウンボールが大きく、高価な順に
マザーグース > グース > ダック

4. 産地はどこか
※ハンガリー、ポーランドは最高品質。
次いでフランス、ドイツ、チェコなど西欧諸国。
※中国などアジア産は比較的安価なのが魅力

5. どこで洗浄された羽毛か
※日本国内で洗浄されたものがおすすめ

6. 側生地の素材は何か
※60番手以上の綿100%サテン織りの生地を推奨。
※よりしなやかな80番手、100番手はご予算次第。

7. 適切な構造のキルティングを施しているか。
※何より暖かさを求めるなら「立体(または二層式)」のキルト。
※暖かい環境で丈夫さも重視するなら「たたきキルト」がベター。

*     *     *     *     *

羽毛布団を購入する際のポイントをひとことで言うなら、
「安さや手軽さ」より「信頼できるか」ということです。

通販で「驚きの安さ!」に惹かれて買った羽毛布団が
「臭くて使えなかった」「1シーズンで中身が出てきた」
「すぐペチャンコになった」なんて話もよく聞きます。

羽毛布団の価格には、安ければ安いなりの理由があります

本当に最安値の羽毛布団でも満足できるのか、
少し高くても長く愛用する布団を求めるのか、
価格と品質のバランスをしっかり見極めましょう

また、本当に残念なことですが、
品質に見合わない粗悪な布団を
高額で売りつける販売業者もいるそうです。

羽毛布団の価値はいろいろな要素が複雑に絡み合っていますし、
何より中身が見えないものですから、くれぐれも
信頼のおける業者からお買い求めになるようおすすめいたします。

それは高級ブランドで名の通っている商品を、ということよりも
例えばお住まいの地域で永年良心的に営業しているふとん屋さんや、
何度でも納得がいくまで相談できる業者さんを頼ってください、
ということです。

羽毛布団のすばらしさを知り、お届けできることを喜びとする業者は、
自分が売りたいものを、ではなく、お客様が喜ぶものを売ります。
必要以上に高価なオーバースペックの布団より、使用環境と
ご予算に合った、適切なランクの商品をおすすめするのは当然です。

そういう業者にご希望を伝え、納得のいく提案を受けてください。
皆さまにとって最も良い羽毛布団との出会いがありますように。

一年中、季節や寝室の環境に合った適切な厚さの羽毛ふとんを使いたい!

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