プロが伝授! 羽毛ふとんについた血液の落とし方
――ご自宅でできる対処法――
毎日、毎晩お世話になるふとん。気がつくと、「え、何これ⁉」というような汚れが付いていて慌てることはありませんか。
ワンちゃん、猫ちゃんにオシッコをかけられてしまった場合の処置については、以前掲載した記事「羽毛ふとんにペットが粗相をしてしまったら…」でご紹介いたしましたが、子どもの鼻血とかうっかり切り傷、経血が漏れるなどして羽毛ふとんに血液がついてしまったら……?
カバーが汚れただけなら、すぐにはずして洗えばいいけど、本体の側生地にも少し汚れがついてしまった……なんてとき、「こんなちょっとでも、羽毛ふとんは専門業者にクリーニングを頼まないとダメ……?」って、運搬や費用の負担を考えると気分がどんよりしてしまいますよね。
「いやいや、こんな小さなシミ、見なかったことにしよう……」と無視を決め込んで、あとでため息をつくことにならないように、こちらの記事をお役立てください。
血液の汚れはオキシドールで落ちる
汚れがついたのが「たった今」なら、水だけでもかなり落ちます。放置せずに、汚れた部分をつまんで、水で流してから乾いたタオルで挟むようにして水気をとってください。そしてよく乾かしましょう。中の羽毛まで濡らさないようにすることが大事です。
水だけでは落ちない場合、そしてその汚れが血液の付着ということで間違いない場合は、皮膚の傷口の消毒にも使うオキシドール(過酸化水素水)で落とせるかもしれません。薬局やドラッグストアで購入できます。液体の酸素系漂白剤も同じように使えます。(塩素系漂白剤は絶対NGです!)
綿棒の先などにオキシドールをふくませ、汚れた部分に塗ります。それを硬く絞った濡れタオルなどでたたくようにして拭き取ります。これを何度か繰り返してみましょう。
少し範囲が広い場合はカット綿などでオキシドールをつけます。このとき、側生地の汚れがある部分のみをつまむようにして、できるだけ羽毛から離して染み抜きをします。汚れが浮いたらその部分を水で洗い流し、乾いたタオルで押さえて水気を取ります。
血液の汚れを取るには必ず「水」で。温度が高いと、血液中のたんぱく質が凝固して、かえって落ちなくなってしまいます。
また血液は、付着してから時間がたって酸化が進むと、上記の方法では落ちにくくなります。そうなってしまった場合はアルカリ値を上げることが効果的です。
オキシドールや酸素系漂白剤(キャップ1杯程度)に対してアンモニア水をごく少量(1滴)混ぜるか、リビング用の洗剤(マジックリンなど)を水で2倍程度に薄めたものをシミに塗ったあとで、ご紹介した方法で染み抜きをしてみてください。
家でシミ取りをするときのポイント
以上が羽毛ふとんの血液汚れを落とす方法ですが、生地によっては色落ちしたり、輪ジミができたりする場合があります。薬剤や洗剤を使用する前に、できるだけ目立たないところで、ごく小さく試してみることをおすすめします。
また、羽毛ふとんの生地はきめが細かく、少し水がかかった程度では、中までぐしょぐしょに濡れるということはありません。その他の汚れがついたときも、できるだけ早いうちに表面を水で流して拭いておくのが、シミを定着させないための基本です。
もし中まで濡れてしまったときは、羽毛が固まってしまわないように注意する必要があります。この場合は、濡れた部分が生乾きのときに、ふとんの表と裏から指の腹で軽く叩くなどして羽毛をほぐしてください。
羽毛ふとんでは「あるある」の首周りの皮脂汚れなど、長い間についてしまった広範な汚れは無理をせず、クリーニング(場合によってはリフォーム)を専門業者にご相談ください。
愛着のある羽毛ふとんを長く快適に使うことができますように。